『風の音、虫の音』

仙台市戦災復興記念館 記念ホールで行われたイベント『風の音、虫の音』に行ってきました。
出演者は出演順に岡野宏典/熊木杏里竹仲絵里

会場の戦災復興記念館は決して新しいホールではないのですが,この会場でイベントを見るのは初めてでした。
約2000席らしいのですが小じんまりとした印象。 今日のイベントのタイトルには合ってると思います。

出演者から判断すると20代後半〜50代くらいの男性が多いのかと思ってましたが,岡野さんファンが健闘し?女性の比率も意外と高かったです。

演奏順に簡単に感想を。
まずは岡野宏典さん。
この方については名前を聞いてもどんな方なのかまったくピンと来ずに,下調べもないまま当日を迎えたのですが,楽曲がテレビなどでも使われてるらしく聴いた曲が何曲かありました。 声や歌い方にヘンな癖がなくびっくりするくらい素直感じでした。 これだけまっすぐで大丈夫かなぁと心配になるくらい。 MCも丁寧でかつ必要最小限のことだけ話すスタイル。 何度も緊張していると言ってたような気がしますが言わなくてもそれがわかるくらいちょっと硬い印象でした。

声質はスキマスイッチの人をもっとあっさりさせた感じでしょうか? 予備知識もなく見たのですがなかなか気に入りました。
ただし全体的に「きれいな演奏」ではあるのですが,逆に言うとちょっとインパクトが弱いような気がします。 今はまだ2年目なのですがら,もっとガツガツ行ってもいーんじゃないかなぁと思います。 なんだか音程を外したり声質がぶれたりするのを避けてサビなどの「ここで来てほしい」ようなところをサラっといかれてしまうように感じる箇所が何箇所かありました。

この日はキーボードとパーカッションのサポート入りで3人での演奏だったのですが,キーボードの人がこれまたコギレイだけどあんまり印象に残らないレンジの狭い演奏だったような気がします。 んでコーラスもやってたのですがほとんど聞こえなく。 2年目の岡野さんを刺激するような人(できればサウンドプロデューサーみたいな人)がキーボードとかギターでサポートをやってくれると良いような気がするんですけど。

で,もう一人のサポートのパーカッションの人...こちらはかなり演奏の雰囲気を作ってくれていたような気がします。 カホーン+変わったシンパル+ウィンドチャイム+ペダルがセットされた革の張ってないモンキータンバリンというアイテムでの演奏だったのですが,岡野さんやキーボードの人に「なんでもっと熱くならないんだよ」と言っているような「気持ちが見える演奏」だったような気がします。 久しぶりにパーカッションのサポートで感心しました。 ってライブを見るの自体久しぶりなことは置いておいて(^-^; 正直パンディエロを使った宮川さんとかもすごいと思いますが,あれはちょっと飛び道具を使った反則的なところがあるのに対して昨日の人の演奏はアコースティックセットでのパーカッションはこうあって欲しいと思えるものでした。 宮城出身の人らしいですが,他にどんな人のサポートやってるのかチェックしてみようっと。

次に熊木杏里さん。
現在全国ツアー中の彼女にとってツアー用のセットの縮小版的なところの演奏だったのだと思います。 全曲最新アルバム「ひとヒナタ」からのものでした。 ちゃんとホールで彼女の歌を聴くのは初めてだったのですが,CDで聞きなじんだあの独自の空気感を持った声がそのままホールに響いた時点でかなり満足(^-^) やっぱりこの声・この歌は彼女独特のものだなぁと。 あの何かを伝えたいという思いが動かしているような微妙な手の動きもライブで見ると印象的ですね。 しかしあのアッサリしていて声量も声の伸びも特筆すべきところがないように思える彼女が歌という表現手段を選択したのはどういうきっかけがあったのか気になります。 彼女以外のアドバイスなんかがきっかけなんだしたらその人のセンスはホントに素晴らしいですね。 押し付けがましくないのに詞の意味を考えさせられる彼女の歌が聴けるのもその人のおかげってことになりますから。
MCはさすがデビューして数年経っただけあって彼女なりの飾り気のないスタイルが確立されているようで,客席を和ませてくれるようなものでした。
熊木さんはキーボードとギターのサポートでの3人での演奏でした。

最後は竹仲絵里さん。
彼女の演奏を見るのは夏の夕涼みコンサートを見られなかったので,Retro BackPage以来でした。 そのときも彼女のアーティストとしての成長振りにびっくりさせられたのですが,さらに増した表現の説得力にまたまた驚かされてきました。 特に吉野家松屋なんかでBGMとして聞くとすっかり手垢まみれになったカンジのする「サヨナラサヨナラ」も,あのドラマのような歌詞の世界が新鮮に目の前で再構築されて,歌の痛みが伝わってきてこちらも胸が痛くなるような...。 すばらしい演奏でした。 「黄色い花」もあの会場でまだ結婚していない女の人は親友に歌ってもらうことを創造するだけで涙腺崩壊しちゃうんじゃないかなぁと思うほど歌詞が伝わってくる歌唱でした。 こうなってくると既出のマキシとかは再録した上で久しぶりのアルバムとかリリースしてくれないかなぁと思っちゃうのですけど,アルバム発売の予定はまったくないんでしょうかね? マキシとかお金もかかるし嵩張るし買いたくないんだけどなぁ(^-^;
彼女のこの日のサポートはキーボードの小林建樹さんとバイオリンの人でした。
バイオリンの女性のクールでかっこよいプレイもはまっていましたが,小林建樹さんのサポートはキーボードプレイの上ではもちろんコーラスでも冴えていますねぇ。 男声・女声を超えてメロディーを数倍魅力的に聞かせてくれていました。

ということで,今日の演奏に敢えて順位をつけてみると
竹仲絵里さん > 熊木杏里さん > 岡野宏典さん
と出演順とまったく反対ということになります。

あと気になったこと。 熊木杏里さんのファンなのかファンを装ったアンチ熊木さんの人かどうかわかりませんが,曲が終わってからの拍手のタイミングが他の2アーティストのときはちゃんと曲の終わりの雰囲気を読み取った上で拍手していたのに対して,熊木さんのときだけ「まだ余韻が残ってるのに(というか最後の音が出てるのに)」拍手始めちゃう人がいるんですよね。 多分あれはアンチ熊木さんの人なんでしょうね。 ファンだったらあんな拍手のされ方したら気分悪くなりますもん。

ということで,拍手をいかに始めるかの競走はやめてください。>アンチ熊木ファンの人